2006 Season Review
シーズン総括

2005年シーズンに6連勝でレギュラーシーズンを終えたドルフィンズは、2006年シーズンを迎えるにあたって、オフェンス、ディフェンスのコーディネーターを一新し、さらにトレードでプロボウルQBダンテ・カルペッパーとかつてのドラフト1位QBジョーイ・ハリントンを獲得した。これによってドルフィンズのシーズン開始前の評価は、プレーオフ出場は確実で、スーパーボウルも狙えるチームと言われていた。

ところがいざふたを開けてみると、開幕戦で前年のスーパーボウル王者ピッツバーグスティーラーズに完敗したのをはじめ、バッファロービルズやヒューストンテキサンズといった格下と思われていたチームにも敗れるなど、前半7試合を4連敗を含む1勝6敗という結果で終わった。

第9週の試合で、それまでシーズン全勝を続けていたシカゴベアーズに敵地で勝利して連敗を止めたのをきっかけに4連勝、さらに第14週には地元マイアミでニューイングランドペイトリオッツに完封勝利するなど、昨シーズン同様、後半の巻き返しが大きく期待された。

しかし第15週のビルズ戦に敗れて1986年シーズン以来の負け越しが決定すると、その後の2試合にも敗れて3連敗でシーズンを終了、結局6勝10敗でAFC東地区の最下位に終わった。

新戦力として期待されたカルペッパーは怪我が完治しておらず、控えQBのハリントンも不安定な内容でいずれも期待はずれ、さらにオフェンスコーディネーターのマイク・ムラーキーも不評で得点力はチーム史上でもワーストの部類に入る1試合平均16.2点に終わり、NFL4位の好成績を残したディフェンスを生かせなかった。

さらに2年目を迎えて期待されていたHCニック・セイバンはチーム指揮能力が問題視され、11月後半からはアラバマ大のHC就任の噂が絶えなかった。セイバン自身はその噂を否定しつづけていたが、シーズンが終了するとすぐにドルフィンズを去り、アラバマ大のHCに就任してしまった。

DEジェイソン・テイラーがNFLの最優秀守備選手に選出されたのが唯一の輝ける内容で、それ以外ではファンの期待を大きく裏切り、チーム史上ワーストの5年連続でプレーオフに進出できないという汚名も残したシーズンだった。

以下、それぞれのポジションごとに2006年シーズンを振り返ってみたいと思う。

 

クォーターバック

ミネソタバイキングスとのトレードで獲得したカルペッパーは昨年11月の膝の手術の影響で、当初シーズン後半に復帰するものと思われていた。しかしHCセイバンはカルペッパーの回復具合が予想以上によいと判断して開幕戦から先発として起用した。ところが怪我の回復が不完全だったために全盛期の実力は発揮されず、痛みの残っている状態でプレーしていたために、第2週のビルズ戦で7QBサックを受けるなど4試合でパス134回投中81回成功929ヤード獲得、2TD、3インターセプト、21QBサックという不本意で期待はずれの内容で、第5週の試合から欠場してハリントンに先発QBの座を譲った。

カルペッパーに代わって第5週から先発QBを務めたハリントンは11試合に先発出場したが、その間のチームの成績は5勝6敗、ハリントン自身の成績もTDパス12個に対してインターセプトが15個と不安定な内容に終始した。それでも第9週の対ベアーズ戦では3TDパスを記録してチームの連敗を止め、第12週の対デトロイトライオンズ戦では古巣相手に今シーズン最高の内容でチームを勝利に導いた。しかし第15週の対ビルズ戦ではパス17回投中5回成功で20ヤード獲得、2インターセプトでQBレイティング0.0に終り、さらに翌16週の対ニューヨークジェッツ戦でもパス15回投中7回成功で42ヤード獲得に終わり、いずれも試合途中に控えQBクリオ・レモンと交代した。そして最終第17週の対インディアナポリスコルツ戦では試合に出場することなく、シーズン終了を迎えた。

第3QBのレモンは第15週の対ビルズ戦で第4Q途中から出場し、翌16週の対ジェッツ戦でも試合後半から出場してNFL初TDパスを決めるなどQBレイティング107.3を記録した。いずれもチームを勝利に導くことはできなかったが、その内容を買われて第17週のコルツ戦にNFL初となる先発出場を果たした。しかし、試合経験のなさがたたったのか不安定なパスも目立ち、パス36回投中18回成功で210ヤード獲得、1TD、1インターセプトで期待されたほどの成績を残せず試合にも敗れた。

カルペッパー、ハリントンの獲得とレモンが控えQBという布陣で、開幕前は盤石と思われていたQB陣だったが、結局どのQBも不安定でチームのオフェンスをリードするQBが定まらなかったことがオフェンス不振の大きな原因となった。

 

ランニングバック

シーズン開始前にRBリッキー・ウイリアムスが禁止薬物使用により1年間の出場停止処分を受けた。さらにRBサミー・モリスも同じく禁止薬物使用により、開幕から4試合出場停止となった。これによって2年目のRBロニー・ブラウンにかかる負担が増えることとなり、同時にブラウンの真価が問われることになった。

そのブラウンはオフェンスラインが不安定なこともあって、9月の3試合では1試合も100ヤードを走ることができず、平均獲得ヤードは3.4ヤードと低迷した。しかし、オフェンスラインが安定してくるに従って徐々に実力を発揮し、第6週のジェッツ戦では22キャリーで127ヤードを獲得して今季初の100ヤードゲームを記録した。第9週のベアーズ戦でも157ヤードを走ってチームの連敗ストップに貢献するなど、10〜11月の試合では平均4.1ヤードを記録した。第12週のライオンズ戦では左腕を骨折してその後の3試合を欠場したが、第16週のジェッツ戦で復帰して110ヤードを走り、最終週のコルツ戦でも115ヤードを記録して、結局シーズン1008ヤードを達成した。オフェンスラインに怪我人が続出し、シーズン中3試合を欠場しながらの1000ヤードラッシングはブラウンにとっては来シーズンにつながる貴重な経験となったことだろう。

モリスは第5週のペイトリオッツ戦から復帰し、ブラウンが欠場した第12週のライオンズ戦では12キャリーで91ヤードを走り、第14週のペイトリオッツ戦では25キャリーで123ヤード獲得、1TDと活躍した。ブラウン欠場の4試合では69キャリーで332ヤード獲得(平均4.8ヤード)と控えRBの責任を果たした。

 

レシーバー

昨シーズン、82キャッチで1118ヤードを獲得、11TDパスレシーブを記録して自身初のプロボウルに選出されたWRクリス・チャンバースは、カルペッパーというQBを迎えた今シーズンは更なる向上が期待されていた。しかし終ってみれば16試合すべてに先発出場したものの、59キャッチに止まりキャリア最低の677ヤード(平均11.5ヤード)獲得と全く期待外れの結果に終った。確かにQBがカルペッパーからハリントンに交代するという不安定さはあったものの、チャンバース自身もパスの落球が目立つなど精彩を欠いたシーズンだった。フィールド外では子供たちに対する慈善活動が評価されてチームのマン・オブ・ザ・イヤーに選出されただけに、フィールド上でのパフォーマンスが残念だった。

No.2WRマーティ・ブッカーは怪我で2試合を欠場し、キャッチ数はチーム4位の55回に止まったものの、747ヤード獲得と6TDパスレシーブはいずれもチームトップの成績だった。特にハリントンとの相性が良く、第12週のライオンズ戦では7回のパスレシーブで2TDを決め、115ヤードを獲得するなど計3試合で100ヤード以上のパスレシーブを記録した。

昨シーズン、第3WRとして活躍したウェス・ウェルカーは今シーズンも安定した力を発揮して更に成績を伸ばした。16試合すべてに出場してチームトップの67キャッチ、同2位の687ヤードを獲得した。そして第9週のベアーズ戦ではパスレシーブはわずかに2回、14ヤード獲得に止まったものの、プロ入り初のTDパスレシーブを決めた。決して派手な活躍はないが、昨シーズン同様要所での好パスレシーブが光った。

TEランディ・マクマイケルは16試合すべてに先発出場して、62キャッチで640ヤード獲得と2004年シーズン以来の好成績を残したものの、TDパスレシーブも3回でその印象は薄いものだった。逆に相変わらずプレーにムラがあり、パスを落球する場面も数多く見られた。

 

オフェンスライン

シーズン開始前にFAでОTL.J.シェルトンとОGベニー・アンダーソンを獲得して補強を行い、昨シーズンにRGだったレックス・ハドノットをCにまわして、新しい布陣で臨んだ2006年シーズンだった。しかし、期待していたアンダーソンが第2週のビルズ戦で怪我をしてシーズンアウトとなり、代わりにRGに入ったケンドイル・ジャコックスが十分な働きができず、さらにシーズン前にセス・マッキニーも怪我をしていたのでオフェンスラインが手薄になった。その結果ランブロック、パスプロテクションともに不安定な状態に陥った。

そこで、本来ОTのダミオン・マッキントッシュにRGを務めさせたが、まったく経験がないポジションだったためにまたしても機能せず、LTのシェルトンをRGにまわして、マッキントッシュをLTに入れるという苦肉の策を講じた。しかしこれが意外に安定感を生み、シーズン後半はCハドノット、RGシェルトン、LGジェノ・ジェームス、RTバーノン・ケアリー、LTマッキントッシュの布陣でまずまずの結果を残していた。

しかし、シーズン終盤にはジェームス、マッキントッシュ、ハドノットが相次いで怪我をして、ジェームスは故障者リスト入りするなど最後まで安定したオフェンスラインを形成することができなかった。唯一ケアリーだけがシーズンを通して安定したプレーをしていた。

 

ディフェンスライン

NFL10年目を迎えたDEテイラーにとって、今シーズンは自己最高の内容だった。16試合すべてに先発出場して、62タックル、13.5QBサック、11パスディフェンス、10ファンブルフォース、2インターセプト(いずれもリターンTD)の成績を残し、NFLの最優秀守備選手に選出された。第9週のベアーズ戦ではシーズン全勝のベアーズに対して20ヤードインターセプトリターンTDを決めるなど、1QBサック、2パスディフェンス、1ファンブルフォースを記録してチームの勝利に貢献する活躍でAFC週間最優秀守備選手に選出され、さらにその2週後の第11週のミネソタバイキングス戦でも、5タックル、1QBサック、2ファンブルフォースを記録、さらにチームの勝利を決定づける51ヤードのインターセプトリターンTDを決めて、再びAFC週間最優秀守備選手に選出されるなど、11月はAFC月間最優秀守備選手に輝いた。チームの勝ち星が伸びない中で、NFL4位のディフェンスを支えた功績は大きかった。シーズン終了後に一時、引退をほのめかす発言をしたがすぐに撤回した。来シーズンもチームのディフェンスの要としての活躍が期待される。

その他のディフェンスラインマン、NTキース・トレイラー、DTボニー・ホリデー、DEケビン・カーターの3人はベテランらしい安定したディフェンス力を発揮した。特にホリデーはチーム4位の66タックル、チーム2位の7QBサックを記録してプロボウル級の活躍を見せた。

またベテランばかりが注目されたディフェンスラインだったが、2年目のDEマット・ロスが急成長、先発出場はなかったものの16試合すべてに出場して37タックル、3.5QBサック、3ファンブルフォースを記録して、来シーズンに期待を抱かせる結果を残した。

チームの総QBサック数47.0個のうちディフェンスラインで記録したものが38.5個だったが、このあたりがディフェンスバック陣が不安定だったなかでNFL5位のパスディフェンスを記録した大きな要因となった。

 

ラインバッカー

MLBザック・トーマスは今シーズンもチームのディフェンスの要として安定した活躍を見せた。NFLトップの165タックル、3QBサック、8パスディフェンス、2ファンブルフォース、1インターセプトを記録して、2年連続7度目のプロボウル選出、さらにオールプロにも選ばれた。NFL11年目を迎えたベテランだが、今シーズンは怪我もなく16試合すべてに先発出場し、NFL4位のディフェンスを引っ張った。DEテイラーとともにドルフィンズのディフェンスにとってはなくてはならない存在で、来シーズンもその活躍が期待される。

WLBチャニング・クロウダーはプロ2年目を迎えてさらにステップアップした。16試合すべてに先発出場してチーム2位の104タックルを記録、また第15週のビルズ戦ではキャリア初のQBサックを決めた。

ドルフィンズでの2年目のシーズンを迎えたSLBドニー・スプレイガンは14試合の先発を含む全16試合に出場して、46タックル、1.5QBサックと数字的には昨シーズンとほぼ変わりがなかった。

 

ディフェンスバック

CBウィル・アレン、CBアンドレ・グッドマン、Sレナルド・ヒルと開幕時のディフェンスバックの先発4人のうち3人が新加入の選手だった。さらに昨シーズン、ルーキーとして活躍して大いに期待されていたCBトラビス・ダニエルズは怪我で開幕に間に合わず、シーズンを通して怪我に悩まされて満足なプレーができなかった。

またドラフト1巡目指名のルーキーSジェイソン・アレンは契約が遅れてサマーキャンプ初日に間に合わず、加えてディフェンスのシステムに慣れるまでに時間がかかり、ディフェンスバックとしてプレーできるようになったのはシーズン後半からだった。

そのため今シーズンのディフェンスバック陣は非常に不安定で、インターセプトもヒルの2つが最多で、ディフェンスバック陣合計でもわずかに5つとお粗末な内容だった。パスディフェンスはNFLで5位と好成績だったものの、その要因はディフェンスバック陣の働きというよりはディフェンスラインを中心としたパスラッシュに負うところが大きかった。

そんな中で、開幕時は控えSだった3年目のイェレマイア・ベルは第9週の対ベアーズ戦から先発Sとして起用されると、その試合で5タックル、2パスディフェンス、1ファンブルフォースを記録してチームの勝利に貢献、さらに第12週のバイキングス戦では12タックルを決めるなどシーズン終了までの9試合で54タックル、7パスディフェンス、1QBサックの記録を残した。シーズン合計ではチーム5位の65タックル、チームトップの12パスディフェンスを記録して先発Sの座を不動のものとした。

 

スペシャルチーム

Kオリンド・マレーにとって今シーズンは厳しいシーズンとなった。シーズン合計でFG36本中26本成功(成功率72.2%)で、特に50ヤード以下では30本中25本成功(成功率83.3%)と不安定だった。FG10本失敗はNFLのKとしては最多となる。しかし最後の9本のFGはすべて成功させ、タッチバックもNFLトップの24本を記録しており、そのキック力はいまだに健在である。来シーズンはどれだけ安定感を取り戻せるかが課題となる。

Pドニー・ジョーンズは平均42.8ヤードのパントキック、リターナーのウェルカーはKR平均22.2ヤード、PR平均9.2ヤードでいずれも平凡な成績に終った。またNFL2年目のLSジョン・デニーは特筆すべき点はなかったが、昨シーズンと比べてプレーに安定感が増した。

 

2006 Game Results