2003 Season Review
シーズン総括

QBブライアン・グリーシー、WRデリアス・トンプソン、LBジュニア・セアウ、SSサミー・ナイト、KRチャーリー・ロジャース…昨シーズンに弱点とされていたポジション、そして実績のあるベテラン選手をFAなどで獲得して今シーズンを迎えたドルフィンズは、今年こそ、という勝負の年であったと思います。

シーズン開始前には、圧倒的とは言わないまでも、優勝候補の一角として大いに注目されていました。しかし、いざふたを開けてみたら、非常に高い勝率を残していた開幕戦、しかもホームゲームで格下の新興チーム、ヒューストンテキサンズにまさかの逆転負けを喫していきなりリズムを崩してしまいました。

その後は持ち直したものの、前半の山場である第7週の対ニューイングランドペイトリオッツ戦では、勝てる試合をFGのミスで自滅し、さらにエースQBジェイ・フィードラーをも怪我で失ってしまいました。

その後今シーズン好調の2チームとの対戦、対インディアナポリスコルツ、テネシータイタンズ戦に連敗するなどフィードラーの穴を埋めるべく獲得したグリーシーも期待を裏切る結果となりました。

それでも第12週の対ワシントンレッドスキンズ戦の途中からフィードラーが復帰すると、チームは勢いづいてその試合に逆転勝利、さらに翌第13週の対ダラスカウボーイズ戦にも素晴らしい内容で勝利して、シーズン終盤に向けてチームのムードは高まりました。

しかし、毎年弱点と言われている12月の戦いで、同地区のライバル、ペイトリオッツに完封負けして地区優勝の望みを断たれ、さらに翌第15週の対フィラデルフィアイーグルス戦にも敗れて、その時点でプレーオフ進出もほぼ絶望的となりました。

最終的に10勝6敗という成績で終わったんですが、2年連続でプレーオフ進出はならず、さらに、期待された新戦力も軒並み期待外れに終わって、チームとしては勝率以上に敗北感を感じたシーズンであったのではないでしょうか。

 

クォーターバック

エースQBのフィードラーはプレシーズンゲームでは非常にいい仕上がりを見せており、開幕のテキサンズ戦でも3つのTDパスを決めるなど好調なスタートでした。しかし第2週の対ニューヨークジェッツ戦で肩を傷めてパスの精度が不安定になり、さらに第7週のペイトリオッツ戦では左ひざを痛めて欠場に追い込まれました。

しかし、復帰したレッドスキンズ戦、そしてカウボーイズ戦では素晴らしいプレーとともに、リーダーシップを発揮してチームを勝利に導き、エースQBとしての実力を見せてくれました。ただ残念だったのは、第14週のペイトリオッツ戦で再び左ひざを痛めてしまい、思い通りのプレーができないままシーズンを終えました。フィードラーにとっては例年以上に浮き沈みの激しいシーズンだったと思います。

今シーズンの新戦力の中で、一番期待されていたのが控えQBのグリーシーだったんじゃないでしょうか。しかし、プレシーズンゲームでつま先を痛めて出遅れたのがたたってか、フィードラー欠場の後を受けて先発した試合ではまったくの期待外れでした。

初先発となった第8週の対サンディエゴチャージャース戦では3つのTDパスを決めて素晴らしいスタートだったんですが、その後の4試合で6つのインターセプトを喫するなど非常に不安定な内容でした。

そして第12週のレッドスキンズ戦では第3Q途中で交代させられるなど、グリーシー自身にとっても非常に不本意なシーズンだったんではないでしょうか。

 

ランニングバック

今シーズン、ドルフィンズのランオフェンスは昨シーズンの2位から17位にまで落ちてしまいました。エースRBリッキー・ウイリアムスは1372ヤード獲得ですので、決して悪い数字ではないんですが、リーディングラッシャーに輝いた昨シーズンの1853ヤード獲得というのがありましたんで、それと比べるとやはり見劣りがしました。

ランオフェンスが低迷した原因は、ウイリアムスというよりオフェンスラインに問題があったと思うのですが、それ以外で昨シーズンと違うところは、昨シーズン前半はウイリアムスを休ませながら使っていました。そしてシーズン後半には絶好調となって素晴らしい活躍をしました。

しかし今シーズンは、序盤からウイリアムスに頼りすぎのようなランオフェンス、しかもサードダウンでもウイリアムスを使う、というふうに使いすぎたというところがあると思います。これでは対戦相手のディフェンスも的が絞りやすいですし、オフェンスのリズムも単調になると思います。

シーズン終盤になってから要所でRBトラビス・マイナーを起用するようになりましたが、マイナー自身も決して調子は悪くなかったし、何よりランオフェンスのリズムを変えるという意味では効果的だったと思います。シーズンの序盤からこれをやっていたらまた少し違った結果になっていたんではないでしょうか。

 

レシーバー

WRクリス・チャンバースは今シーズンのドルフィンズのオフェンス部門でのMVPと言ってもいいんじゃないでしょうか。2人のQBが非常に不安定な中で、963ヤード獲得(平均15.0ヤード)は素晴らしい成績だったと思います。

また11TDパスレシーブは、1991年シーズンにマーク・クレイトンが記録した12TD以来の2ケタTDパスレシーブですから、3年目にして完全にドルフィンズのエースレシーバーに成長しました。ただ残念だったのは、チャンバースを生かすべきもうひとりのWRがいなかったことですね。

3年契約で期待されて移籍してきたWRトンプソンですが、わずか26パスレシーブで359ヤード獲得、0TDに止まり、まったくの期待外れに終わってしまいました。もともと一流のWRではないんですが、先発WRとしてはこの数字はあまりにも少なすぎました。

結局ドルフィンズは11月になってからWRオロンデ・ガズデンと再契約しましたが、実戦から遠ざかっていたガズデンは、やはり思うようなプレーもできなかったと思います。ガズデンが復帰した時はかなり期待したんですが、昨シーズンのクリス・カーターの例と同様、甘くはなかったですね。

チャンバース以外のレシーバーで唯一光ったのはTEランディ・マクマイケルでした。49パスレシーブで598ヤード獲得、TDこそ昨シーズンの4つから2つに減りましたが、パスレシーブの上手さは素晴らしいものがありました。いいハートも持っている選手ですから、これからの成長が非常に楽しみです。

 

オフェンスライン

このポジションほど今シーズンのドルフィンズを悩ませたものはなかったでしょう。ランオフェンス低迷の原因はほとんどこのオフェンスラインにあったといえると思います。さらにパスプロテクションに関しても、QBサックを31個も許してしまいました。

その要因の一つにあげられるのが、昨シーズン非常に注目されて素晴らしい活躍を見せていたLGジェイミー・ネイルズです。好調だった昨シーズンとは変わって、今シーズンは開幕前の調整不足のせいか、非常に動きの悪さが目立ちました。

それに加えて、LTとして期待されていたマーク・ディクソンが怪我で使えず、代わりに起用されたのがルーキーのウェイド・スミスでした。QBを守るべきLTとしてはルーキーにはかなり荷が重かったと思います。

そのスミスですが、確かにプレー内容はあまり褒められたところはなかったんですが、個人的には、ルーキーとして非常に重要なポジションをシーズン通して経験してきたということは、スミス自身にとってもいい経験になったと思います。これを生かして来シーズン以降は先発LTとして成長してもらいたいと思います。

 

ディフェンスライン

ドルフィンズのディフェンスラインといえばこの二人、DEのジェイソン・テイラーとアデワール・オグンリエです。今シーズンは相乗効果で二人とも好成績を残しました。NFL最高のサックタンデムと言っても過言ではないでしょう。特にオグンリエはリーグ2位の15.0サックを記録して初のプロボウルに選出されました。

オグンリエは昨シーズンも9.5サックを記録して注目を浴びましたが、今シーズンはそれをさらに延ばすなどいきなりリーグトップクラスのDEに成長しました。そのオグンリエの活躍の影には、やはり反対サイドのDEテイラーの存在が大きく影響していると思います。

そのテイラーですが、今シーズンは出足があまり良くなく、開幕直後はなかなかサックを記録できませんでした。しかし終わってみればリーグ4位の13.0サックを記録して、プロボウルにこそ選出されていませんが、相手チームにとっては脅威の存在であったと思います。

今シーズンのドルフィンズのランディフェンスはリーグ5位、そして相手チームに100ヤードラッシャーを一人も許しませんでした。その原動力となったのが二人のDTティム・ボウエンスとラリー・チェスターでした。

そのうちボウエンスの存在はやはり大きく、今シーズン3試合を欠場しているんですが、その時のランディフェンスは不安定で、相手チームのランをなかなか止められない場面も数多く見られました。

 

ラインバッカー

新加入のセアウですが、年齢的に全盛期より衰えているといわれていますが、やはりその存在は大きかったと思います。チーム2位の133タックルを記録してリーグ5位のランディフェンスに貢献しました。さらに相手チームにとっては脅威の的だったでしょう。

そしてそのセアウの存在に大きく影響を受けたのがMLBザック・トーマスだったと思います。今シーズンもチームトップの184タックルと大活躍だったんですが、何より大きな怪我がありませんでした。

トーマスは毎年のようにシーズン終盤にくると怪我で満身創痍の状態が見られていたいんですが、今シーズンはそれを感じませんでした。それはセアウの加入によって、トーマスにかかる負担がかなり軽減されていましたので、その意味ではセアウの存在はドルフィンズにとってプラスだったと思います。

もう一人のLBモーロン・グリーンウッドは、トーマスとセアウの陰でほとんど目立たなかったんですが、3年目の今シーズンはそのプレー内容がかなり向上してきたと思います。

 

ディフェンスバック

SSナイトの加入によって先発全員がプロボウル経験者という豪華な布陣となった今シーズンですが、パスディフェンスは昨シーズンの8位から19位へと大きく後退してしまいました。パスディフェンスに関しては、試合展開とか相手チームとの兼ね合いに大きく影響されるので一概には言えないと思いますが、やはりスピード面で落ちてきているというのがあったんではないでしょうか。

その中でCBパトリック・サーティンはリーグ4位の7インターセプトを記録してプロボウルに選出され、チームのMVPにも選ばれました。シーズン前半だけで6つのインターセプトを記録して、後半は相手チームが意識したのか1つしかインターセプトを記録できませんでしたが、非常に安定したプレーで、安心して見ていられました。

もう一人のCBサム・マディソンは、今シーズンはインターセプトが3つとまあ平凡な記録でした。能力はかなり高い選手だと思うんですが、時折緩慢なプレーが見られたり、精神面にちょっと問題ありじゃないでしょうか。サラリーも高額なんで、シーズンオフには放出候補となりそうです。

FSブロック・マリオンは昨シーズンに続いてプロボウルに選出されました。チーム4位の100タックル、そしてインターセプトも3つ記録しました。しかしマリオンの場合は、数字よりもディフェンスバック陣の中心としてのリーダーシップが貴重だと思います。年齢的にやや衰えがあり、スピードも落ちているんですが、ベテランらしいプレースタイルが評価されていると思います。

新加入のナイトはチーム3位の111タックルでインターセプトも3つとまずまずの内容だったんじゃないでしょうか。もともとハードタックルには定評のある選手なので、ランストップにはその実力を発揮したと思います。ただ、スピード面で劣るためにロングパスをカバーしきれない場面もいくつかありました。

もう一人、控えCBのテレル・バックリーですが、今シーズン4年ぶりにドルフィンズに復帰してきました。51タックルで2インターセプト、特に第16週の対バッファロービルズ戦ではリターンTDを決めるなど、あまり目立たないんですが、ベテランらしいプレーが随所に光ったと思います。ビッグネームが多数いるディフェンスバック陣の中では貴重な戦力となりました。

 

スペシャルチーム

今シーズンのドルフィンズにとって、スペシャルチームは最も問題のあったポジションだったんじゃないでしょうか。その筆頭がKオリンド・マレーですが、FG成功率は75.9%で失敗が多かったです。最も大きかったのが第7週の対ペイトリオッツ戦での2本の失敗、いずれも40ヤード以下と難しくない距離で、しかもいずれも勝利を決定づけるFGでしたので、それが与えた影響は非常に大きいものでした。

FGの失敗が多かったのは他の要因も影響したと思いますが、マレーはリーグでトップクラスのキッカーですからやはり大事なところではしっかりと決めてもらわないといけません。ただ、そのキック力は素晴らしく、キックオフでのタッチバックは24個とリーグで最も多い数字でした。

そのマレーのFGに影響を与えたと思われるのがロングスナッパーでした。シーズン前にエド・ペリーが怪我で今シーズン絶望、その後契約したシーン・マクダーモットもシーズン途中に解雇、そして3人目のジェフ・グロウも非常にスナップが不安定と最後までチームを悩ませたポジションでした。

そしてキックオフ、パントのリターナーですが、期待して獲得したロジャースがまったく振るわずシーズン途中で一旦解雇されてしまう始末、結局昨シーズン同様、キックオフリターンはマイナーが務めました。マイナー自体は平均点以上の記録を残したと思いますが、今シーズンもリターンTDが見られないなど、相手チームの脅威となるようなプレーは見られませんでした。

パンターもシーズン途中でマーク・ロイヤルズからマット・タークに代わるなど不安定でした。しかしタークはベテランらしいプレーで、スナップが悪くても冷静に処理したり、キックも安定していて、元来波の多い選手なんですが、堅実な働きをしてくれたと思います。