2000 Season Review
シーズン総括

ジミー・ジョンソンの辞任、ダン・マリーノの引退で一つの時代が終わったドルフィンズは新ヘッドコーチにデーブ・ウオンステッドを据えて、オフェンス、ディフェンスのコーディネーターも一新して2000年のシーズンを迎えました。よくて8勝8敗、もちろんプレーオフ進出はなし・・・これが今シーズン始まる前の個人的な予想でした。

しかしいざふたを開けてみれば開幕から強力ディフェンスで安定した試合運び、加えて新加入のRBラマー・スミスを軸としたボールコントロールオフェンスで勝ち星を重ねていきました。そしてこちらも新加入のQBジェイ・フィードラーが派手さはないものの堅実なプレーを見せてチームを率い、終わってみれば最大の激戦地区といわれたAFC東地区で1994年以来の地区優勝を飾りました。

中盤で地区首位に立ったとはいえ、終盤足踏みして最終週のペイトリオッツ戦までプレーオフ進出、地区優勝ともに決まらなかったんですが、コルツ、ジェッツを抑えての地区優勝は予想外であり、同時に大変価値があるものだと思います。ドルフィンズの若い選手たちにとっては貴重な経験だったことでしょう。

プレーオフでは1回戦でコルツとのオーバータイムの死闘を制したんですが、2回戦ではレイダースの前に完敗してしまいました。しかしコルツ戦はプレーオフの試合の中ではもっとも素晴らしい内容で、多くのドルフィンズファンを楽しませてくれました。

以下、ポジションごとにドルフィンズの2000年シーズンを振り返ってみたいと思います。

 

クォーターバック

今シーズン正QBに指名されたのは予想に反してジェイ・フィードラーでした。あのダン・マリーノもなぜデイモン・ヒュアードにしないんだと異論を訴えたほどでした。しかしフィードラーはよくやったと思います。シーズン当初はレシーバーとの呼吸も今一つといった感じだったんですが、中盤になるとそれも解消されてきて得点力もアップ、5試合連続インターセプトなしのチームタイ記録を達成するなど安定感もありました。ビッグプレーはないんですが確実なパスを決め、またプレーアクションやブーツレッグのパス、さらにここぞというときにはランプレーを見せるなどマリーノ時代にはほとんど見られなかったプレーでオフェンスの幅を広げました。終盤戦では安定感を失ってインターセプトを連発してしまいましたが、それは左肩を負傷した影響もあったと思います。最後の4試合では11インターセプトを喫して先発失格の声も聞かれていますが、忘れていけないのはフィードラーは実質的にはNFL1年目のQBなんです。1年目のQBとしてチームを地区優勝に導いたんですから十分に合格点だと思います。ただフィードラーにとっては来シーズンが本当に真価を問われることになると思います。

デイモン・ヒュアードはフィードラー欠場の第13週の対コルツ戦に先発して、アウェイでの試合ながら強敵コルツに逆転勝利を決める活躍を見せて控えQBとしての役割を十分果たしました。

 

ランニングバック

今シーズンの一番の驚きはなんといってもラマー・スミスの活躍でしょう。ドルフィンズのオフェンス部門のMVPはスミスをおいて他にはいません。先発RBに起用されて開幕の対シーホークス戦でいきなり145ヤードのラッシュを見せ、その後も快調に走ってオフェンスの中心を担いました。怪我で1試合を欠場したものの15試合に出場してラッシング1139ヤード、14TDは堂々たる活躍で、ドルフィンズでは1996年のカリム・アブドルジャバー以来の1000ヤードラッシャーとなりました。シーズン前にセインツから移籍してきたスミスですが、NFL入りしたのはシーホークスでした。そのころから将来有望な選手だと思われていましたが、7年目の今年見事に素質が開花したようです。そのスミスの今シーズンの集大成といえばプレーオフの対コルツ戦での活躍でしょう。プレーオフ新記録となる40回のラッシングで209ヤードを獲得し、オーバータイムで決勝のTDランをあげる大活躍でした。

そのスミスのランを陰で支えたのが今年2年目のFBロブ・コンラッドでした。ほとんど目立たないんですがコンラッドの的確なリードブロックがなければスミスもあれだけ快調には走れなかったと思います。オフェンスの貴重な戦力でした。

そしてもう一人忘れてはならないのがサーマン・トーマスです。シーズン前にビルズを解雇されてドルフィンズに入団したんですが、主にサードダウンバックとしてベテランらしい素晴らしい活躍を見せてくれました。第11週のチャージャース戦で負傷して残りのシーズンを棒に振ってしまったのが実に残念です。おそらくこのまま引退してしまうんでしょうが、もう少しドルフィンズでのトーマスの活躍を見てみたかったですね。

トーマス欠場の後にサードダウンバックとして起用されたのがオウトリー・デンソンとJ.J.ジョンソンでした。デンソンは時折いいプレーも見せていたんですが、やはりトーマスと比べると見劣りしていましたし、ジョンソンはシーズン前に薬物の不正使用の疑いをかけられて、結局無罪となったものの、最初からつまずいて不本意なシーズンだったことでしょう。

 

ワイドレシーバー

このポジションは今シーズンのドルフィンズにとってはもっとも悩みの種だったんではないでしょうか。シーズンフルに活躍したのはオロンデ・ガズデンただ一人。ラマー・トーマスはシーズン前に負傷してシーズン絶望、O.J.マクダフィーは昨年から痛めていたつま先を2度手術してシーズンの大部分を欠場、トニー・マーチンも故障がちで期待はずれの内容、また新加入のバート・エマニュエルはほとんど活躍できないまま故障でシーズン終盤を欠場しました。もう一人の新加入レスリー・シェパードはQBフィードラーとの相性も良くスピードを生かしてチーム2位の446ヤード、4TDをあげる活躍を見せていましたが、大事なシーズン終盤に負傷してしまいました。

ガズデンはシーズン前、なかなか契約がまとまらず心配させられましたが、なんとか開幕から出場、高さとキャッチングのうまさでQBフィードラーの第1ターゲットとなり、786ヤードを獲得し6TDをあげる活躍で孤軍奮闘、チームの勝利に再三にわたって貢献しました。

マーチンは年齢的な衰えもあるのか、昨シーズンと違ってまったく良いところがなく、393ヤード獲得(平均15.1ヤード)ながらTDは0という内容でした。またマクダフィーはシーズン中はほとんど活躍できなかったものの、プレーオフでの対コルツ戦では素晴らしいワンハンドキャッチを見せるなどベテランらしい活躍を見せてくれました。

QBフィードラーにとっては第2ターゲットだったシェパードの欠場はかなり痛かったんじゃないでしょうか。第15、16週とホームで連敗したときもシェパードがいたらもしかしたら違った結果になっていたかもしれません。

 

タイトエンド

チャン・ゲイリーのオフェンスということでタイトエンドへのパスが多用されるんじゃないかと思っていたんですが、RBスミスのランを中心としたオフェンスをしていくということで、タイトエンドはブロッキングに重点を置いていたようです。

先発TEハンター・グッドウィンはパスキャッチよりもブロッキングに定評のある選手でRBスミスのランをうまくサポートしていたと思います。その一方で控えのTEジェド・ウィーバーの方は時折パスキャッチでロングゲインを見せるなどオフェンスの意外な武器となりました。ウィーバーのパスキャッチといえばやはりプレーオフの対コルツ戦での同点TDパスキャッチが思い出されます。

 

オフェンスライン

今シーズンのドルフィンズのオフェンスラインは素晴らしかったです。RBスミスのランプレーが成功したのもこのオフェンスラインの活躍が非常に大きかったと思います。これがなかったらRBスミスも十分に走れなかったんじゃないでしょうか。前HCジミー・ジョンソンが目指していたものが今年やっと実を結んだような気がします。

特にCティム・ルディとLGマーク・ディクソンはベストシーズンといっていいほどの活躍だったんじゃないでしょうか。ルディはプロボウルにも選ばれました。またドラフト2位のルーキー、トッド・ウェイドはRTとして大活躍、10月には月間最優秀新人選手に選ばれるなどルーキーらしからぬ働きでチームの勝利に貢献しました。

 

ディフェンスライン

ディフェンスラインの中で特筆すべきはやはりDEの二人、ジェイソン・テイラーとトレース・アームストロングでしょう。二人とも今年はベストシーズン、そしてともにプロボウルに選出されています。とにかく二人あわせて31サックはNFLトップ、特にアームストロングの方は先発DEではないにも関わらずAFCトップの16.5サックをあげる大活躍でした。今シーズンのドルフィンズディフェンスはあまりブリッツを多用しなかったんですが、それがなくてもこの二人で常に相手QBにプレッシャーをかけていました。相手QBにとっては脅威だったんじゃないでしょうか。

DTのティム・ボウエンスとダリル・ガードナーは、ボウエンスが怪我で1試合欠場、ガードナーの方は背中の手術をして6試合を欠場したものの相変わらず好調な動きで力強いディフェンスを発揮しました。相手オフェンスラインをコントロールしてプレッシャーをかけるランディフェンスはさすがでした。

DEケニー・ミクソンはあまり目立たなかったんですが、すべての試合に先発出場し主にランディフェンスに対して強さを発揮しました。また控えのDTジャーメイン・ヘイリーは1999年のドラフトで指名されていた選手ですが、CFLとの契約が残っていたため今シーズンからチームに加わりました。NFL1年目にもかかわらず随所で素晴らしい動きを見せ、さすがはあのジミー・ジョンソンがドラフト指名した選手だけのことはあると思わせました。

 

ラインバッカー

ラインバッカー陣の中心はなんといってもMLBザック・トーマスです。しかしそのトーマスも今シーズンは足首の捻挫で5試合を欠場、復帰してきてからもそれを抱えながらのプレーでした。それにも関わらず持ち前のガッツとスピードでトップレベルのプレーを展開し、ランディフェンス、パスカバーと大活躍、2年連続でプロボウルにも選ばれました。

OLBデリック・ロジャースは今年は例年になくいい動きを見せてベストシーズンでした。ラインバッカー陣の中では一番弱いと思われていたんですが、それをはね返す見事な活躍でした。

OLBロバート・ジョーンズは可もなく不可もなくといった感じで平均的なシーズン、またジャイアンツから移籍してきたスコット・ギャリオンは中盤戦で右膝を痛めて欠場、シーズン中の復帰はなく不本意なシーズンとなってしまいました。

 

セカンダリー

今シーズンのドルフィンズのセカンダリーはNFLナンバーワンといってもいいでしょう。チームの合計インターセプト数は28でNFLトップでしたが、その内の25個をセカンダリー陣があげました。特に先発の4人がいずれも5つ以上のインターセプトをあげたことは特筆すべきことでしょう。今シーズンのドルフィンズディフェンスはブリッツを多用しなかったんですが、そのためにセカンダリーがパスカバーに専念できたことがインターセプトの多さにつながったんじゃないでしょうか。

サム・マディソンは超一流のコーナーバックで2年連続でプロボウルにスターターとして選出されました。しかしマディソンは今シーズン反則が目立ち、特に第16週の対コルツ戦では試合の行方を左右する手痛い反則を犯してしまいました。そのあたりは来シーズンの課題でしょう。

もう一人のCBパトリック・サーティンは今シーズン急成長しました。相手QBにはどうしてもマディソンよりもサーティンの方が狙われやすいんですが、それでも堅実なパスカバーで5つのインターセプトをあげ、プロボウルには選ばれていないものの、プロボウル級の活躍を見せました。

SSブライアン・ウォーカーは1998年シーズンはドルフィンズに控えDBとして在籍し、昨シーズンはシーホークスでプレーしていました。しかし今シーズン、FAでドルフィンズに戻ってきて先発SSとして初めてフル出場しました。そしてチームトップの7インターセプトをあげるなど急成長しました。

FSブロック・マリオンはチームトップのソロタックル84個を記録して初めてプロボウルに選出されました。昨シーズンは全試合でキックオフリターナーとしても活躍していましたが、今シーズンはそれが3分の1に減り、ディフェンスの方に専念できたのが好成績を残せた要因ではないでしょうか。

 

スペシャルチーム

今シーズンのドルフィンズのスペシャルチームはNFL最高といってもいいでしょう。キックオフ、パントのカバーでは最高のユニットを形成し、リターンTDを一つも許しませんでした。またスペシャルチームの活躍がチームの勝利に大きく影響した試合もいくつかあり、ビッグプレーも時折見られました。

特にスペシャルチームのキャプテン、ラリー・イゾーは素晴らしい活躍でプロボウルに選出されました。第8週の対パッカーズ戦ではフェイクパントからロングランを決めてチームの勝利に貢献しました。昨シーズン終了後、一時は放出要員にまでなったイゾーでしたが、今ではドルフィンズにとってなくてはならない存在となりました。それだけにイゾーがプロボウルに選出されたことは大変価値があることだと思います。

キックオフリターンではオウトリー・デンソンがまずまずの働きを見せました。またパントリターンではプレシーズンゲームで活躍して期待されていたルーキーのベン・ケリーがシーズン開幕早々怪我で絶望となってしまいましたが、その代わりに起用されたジェフ・オグデンが大活躍、第8週の対パッカーズ戦ではチーム史上7年ぶりのパントリターンTDを決めるなどロングリターンを再三見せてくれました。

昨シーズンプロボウルに選ばれたKオリンド・マレーは今シーズンも好調で、FGの失敗はわずかに3回、成功率90%と非常に安定したキッキングを見せました。また今シーズン、レッドスキンズから移籍してきたPマット・タークは良いときと悪いときの差があったものの、まずまずの成績を残してチームに貢献しました。

 

コーチング

HCデーブ・ウオンステッドはベアーズ時代はHCとして必ずしも良い成績をあげられず、アシスタントとしては一流だがHCとしては失格、という烙印を押されていました。実際ウオンステッドがHCに就任すると聞いて、今シーズンのドルフィンズはダメだと思われた人も多かったんじゃないでしょうか。

しかし今シーズンの地区優勝ではウオンステッドの手腕が高く評価されていいと思います。主力選手に次々と故障者を出しながら、チームの精神的、肉体的コンディションを常に高い位置にキープし続けることができたことが勝利につながったんだと思います。

HCに就任するなりオフェンス、ディフェンスのコーディネーターを一新し、QBにジェイ・フィードラー、RBにラマー・スミスという新しい戦力を起用するなど打つ手がすべて良い方向に決まっていき、1年目としては大成功だったんじゃないでしょうか。ただウオンステッドの真価が問われるのは来シーズンだと思います。今シーズンの好成績をステップとしてどこまでチームの力を高めることができるのか、注目されるところです。

ウオンステッドはOCに前カウボーイズHCだったチャン・ゲイリーを起用しました。前任のキッピー・ブラウンのオフェンスは保守的で相手に読まれやすいといわれていましたが、それに対してゲイリーは多彩な攻撃を持ち味としており、ウオンステッドはゲイリーにランプレーを軸としたボールコントロールオフェンスの構築を指示しました。これがラマー・スミスというパワーランナーの出現で見事に成功しました。

またDCのジム・ベイツは、前任のジョージ・ヒルのもとで完成されていたドルフィンズディフェンスをさらに発展させました。ベイツのディフェンスはブリッツをあまり多用せず、DTが相手のオフェンスラインをコントロールしてDEが外側からQBにプレッシャーをかけ、ランプレーはザック・トーマスがしっかりと止めてセカンダリーはパスカバーに専念してターンオーバーを狙うというのが基本で、ターンオーバーレシオはNFL5位の+15、インターセプトはNFL1位の28個という強固なディフェンスを形成しました。

 

2000 Game Results